パパの出張簿記講座 2級商簿Q&Aデータベース







分類 「第2章 手形」

【No007】「偶発債務について」 

質問者 「おとうちゃん」さん 質問日 2004/01/17 11:08  回答者 井上ファミリーパパ

質問
手形の裏書や割引により発生する偶発債務について、
@《借》保証債務費用 ×× 《貸》保証債務 ××
と仕訳し、手形金額が決済されても、また不渡りになっても、
A《借》保証債務 ×× 《貸》保証債務取崩益 ××
と記帳しますよね。
この仕訳について、2つの疑問がありますので教えてください。
Q1 なぜ、備忘記録のための対照勘定でこれを処理しないのか。
Q2 決済の場合はまだしも、Aの処理で、どうして不渡りになってまで収益計上する必要があるのか
どうしても納得がいきません。おとうちゃんは大変悩んでおります。ぜひ、「こう考えればスムーズに理解できます」という考え方があれば教えてください。宜しくお願いします。

回答
おとうちゃん、はじめまして
パパの出張簿記講座のパパです(笑)

さて、質問の件ですが、「偶発債務の備忘記録」という理解に誤りがあります。

この仕訳は、偶発債務の備忘記録ではなく、割引・裏書した手形が不渡りとなり、手形債務を保証して手形代金を決済しなければならない危険性を金額に見積もり、負債に計上する仕訳です。その根拠として、不渡りの危険性がない優良手形には保証債務を計上しません。

どちらかというと貸倒となる危険性を金額に見積もり負債(資産の控除科目)に計上する貸倒引当金の設定に近い考え方です。

売掛金は決算で期末残高全部に対して危険率を掛けて貸倒引当金に計上しますが、受取手形については、割引・裏書譲渡するときに、その手形の額面に、不渡りとなる危険率を掛けて保証債務に計上します。

手形が無事決済されたときは、危険率を見積もる必要がなくなりますので取崩します。

不渡りとなったときも、保証債務が現実のものとなり危険率を見積もる必要がなくなりますので取崩します。
この後、手形債務者に代わって決済した手形代金(不渡手形勘定で処理)が回収できなかったときは貸倒損失として処理することになります。

説明が長くなってしまいましたがご理解いただけたでしょうか?
疑問点が解決しないようでしたら、再度質問して下さい。

質問
今回、初めて投稿させていただきましたが、パパさんのとても早いレスポンスに感動しております。ありがとうございます。

さて、「そういうふうに決まっているから仕方ない」のかもしれませんが、もう少し質問させてください。

まず、「偶発債務」が、実際に発生はしておらず「惧れ」のあるものに対して設定するという意味で、貸倒引当金の考え方に近いという感覚は大変よく解りました。この貸倒引当金は、実際に売上債権が回収できなくなれば、

 《借》貸倒引当金 ×× 《貸》売掛金 ××

のような形で、貸方に来るのが、資産の減少ですよね。これはとってもよく解ります。もう無くなったも同然なわけですから・・・。
ところが、この保証債務については、回収できなくなっても(不渡りになっても)貸方に収益が発生するわけです。ここにこそ、私はかなりの違和感を覚えるわけです。しかも、決済日になれば、費用と同じ額の収益が、決済されても不渡りになっても必ず計上されることがわかっているわけです。ですので、Q1の「なぜ備忘記録(対照勘定)で処理しないのか」なのです。

やっかいなことを言っているのでしょうか? 「簿記は大変美しい」と考えている私にとっては、何ともわかりにくい考え方なのです。申し訳ありませんが、ぜひ、アドバイスいただければ、と思います。

回答
不渡りになっても収益が発生←コレガ誤りです。

保証債務を取り崩したことによって収益が発生します。保証債務を設定したときの費用とプラス・マイナスゼロです。

保証債務費用、保証債務取立益を、儲かった、損したの費用収益と同列に考えていることが誤りの原因だと感じました。

保証債務を計上することによって、企業財産に対する危険性を考慮した、より実態に近い状態で、企業財産をB/Sに表現する手続き上の費用収益と考えてみたらいかがでしょうか?

なお、割引・裏書譲渡した受取手形は、割引・裏書譲渡した時点で
(借)現金預金 XXX,XXX (貸)受取手形 XXX,XXX
の仕訳で手形上の債権はなくなっています。

不渡になり手形代金を手形債務者に代わって決裁した場合に
(借)不渡手形 XXX,XXX (貸)現金預金 XXX,XXX
の仕訳で、不渡手形という新たな債権が発生し、決済した代金が回収できないことがはっきりした時点で貸倒となります。
(借)貸倒損失 XXX,XXX (貸)不渡手形 XXX,XXX

当然、回収できる場合もあります。この場合、
(借)現金預金 XXX,XXX (貸)不渡手形 XXX,XXX
となります。

不渡手形が新たな債権の発生という点を見落としていたことも誤りの原因となっていると感じましたの補足させていただきました。

次に、「なぜ備忘記録(対照勘定)で処理しないのか」についてですが、備忘記録は、平たく言えばメモ、本来簿記上の取引ではないが、重要な事項なので帳簿に記録を残しておくための仕訳です。
したがって、備忘記録のための対照勘定は決算書(B/S,P/L)には計上しないルールになっています。
このことから対照勘定では、危険性を配慮したより実態に近い企業財産をB/Sに表現するという目的を達成することができません。

お礼
ありがとうございました。大変よくわかりました。
特に、「取り崩す」という感覚に実感が涌かずにいたことが、私の問題であったと思います。
また、何か問題点が出てきたら、ご相談させてください。


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